明治神宮・南神門(楼門)

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明治神宮・南神門(楼門)

造営年

1920年(大正9年)

建築様式(造り)

楼門

屋根の造り

銅板葺・入母屋造

まず・・「楼門」とは?

楼門(ろうもん)とは、寺社などの入口にある、上層部分に高欄つきの縁をめぐらした、2階建ての門のことです。

現在では一般的に、下層部分に屋根があるものを「二重門」、ないものを「楼門」と呼んで区別します。

明治神宮の廻廊には、この南神門の他に北参道に近い「東神門」と、西参道への出入り口である「西神門」がありますが、2階建てなのは、正面玄関である南神門だけとなっています。




明治神宮・南神門(楼門)の歴史

明治神宮は、1920年(大正9年)に創建されました。

しかし、1945年(昭和20年)4月13日~14日のアメリカ軍機による空襲のためほぼ焼失し、現在まで創建当初の建物が残っているのは、南神門(楼門)とその手前にある宿衛舎(しゅくえいしゃ)、そして本殿や拝殿を取り囲む廻廊の一部のみとなっています。

南神門の修繕(明治神宮鎮座百年記念事業)

明治神宮は、2020年に鎮座(創建)100周年を迎えるにあたり、社殿群の修復工事をしています。

内容としては、1958年(昭和33年)に行った戦後復興事業以来の「銅板屋根の葺き替え」がメインとなっています。

南神門の屋根の葺き替えなどの修繕は、2016年5月から囲いをするなどの準備が始まり、10月頃に完成しました。

それまで青緑色に変色していた銅板の屋根が、現在は本来の銅色となっています。

葺き替え前の青緑色の屋根
葺き替え後の屋根

南神門修繕の際に使われた最新のカバーとは!?

通常、寺社の建物の修繕の際には建物をカバーで囲い、中が見えなくなります。

工事中と知らずに訪れてみたら建物が見えず、がっかりした経験がある方もいるでしょう。

そこで、上記の南神門の修繕工事の際に登場したのが、「実寸大の南神門の写真をプリントしたメッシュシート」でした。

南神門の外観を色々な距離・角度から撮影した写真データをデジタル処理・合成することで、実寸大に拡大しても違和感がないようになっています。

縦14m、横20mの拡大写真を、縦5.1m、横1.8mのシート45枚に分割プリントし、工事用の足場に巡らせたワイヤーに固定することで、工事中でも南神門の姿を偲ぶことができるように配慮されました。

明治神宮・南神門(楼門)の見どころ

明治神宮の菊紋と桐紋

明治神宮の南神門は、彫刻などの装飾はなく、大きな神社の楼門としてはたいへんシンプルな見た目になっています。

そこで、注目していただきたいのは、この門の扉です。

まず、中央の扉には、大きな花の透かし彫りが施されています。

ひまわりのようにも見えますが、これはもちろん、皇室ゆかりの菊紋です。

ただ、皇室の正式な菊紋であれば花弁が16の十六八重表菊(菊の御紋)」であるはずですが、この菊の花弁は12しかありません。

また、両脇の扉にも注目してみると、こちらには桐(きり)紋の透かし彫りがあります。

桐紋は、政府関係機関の公的な紋章という要素が強く、皇室の私的な紋章という意味合いが強い菊紋に対して、裏紋のように使用されています。

そしてこの桐紋も、皇室が使う「五七の桐」から花の数を減らした「五三の桐」です。

  • 五七の桐:中央に7つ、左右に5つずつの花がある桐紋
  • 五三の桐:中央に5つ、左右に3つずつの花がある明治神宮の桐紋

明治神宮では1920年(大正9年)の創建当初、花弁が16枚の、皇室の菊の御紋と同じ紋を社殿や門にあしらっており、今でもその名残が随所に見られます。

しかし、その後、皇室とは違った社紋(神紋)を持つ必要が出てきたため、1965年(昭和40年)に、明治神宮独自の紋として菊紋と桐紋を組み合わせたデザインを考えました。

その際、皇室に遠慮する形で、菊紋の花弁と桐紋の花の数を減らした紋を制定したのだということです。

なお、明治神宮の境内には、菊紋はたくさんありますが、桐紋が見られるのは、この南神門の両脇の扉だけとなっています。




明治神宮の南神門にはハートマークがある!?

もう1点、南神門の扉の見どころは、「ハートマークの金具」です。

実はこれは、厳密にはハートマークではなく、日本古来の図柄で、「猪目(いのめ)」と呼ばれているものです。

モチーフの由来には諸説あるようですが、「猪目」と言った場合、それはもちろん「猪の目(いのしし の お目目)」に由来しています。

獣の目力を備えた図柄ということで、魔除け、そして招福の意味合いがあると言われ、寺社仏閣の飾り金具や仏具、屋根の妻飾りの一種である「懸魚(けぎょ)」などに、よく用いられています。

イノシシは山火事が起こると一目散に逃げるということから、火除けのまじないという説もあります。

例えば明治神宮では、南神門の他に、客殿の屋根の懸魚にも見られます。

客殿の屋根の「ハートマーク」

南神門をくぐり抜ける際は、開いている扉にも注目してみてくださいね!

ちなみにですが、明治神宮の境内の建物にはこのようなハートマークの懸魚や金具が結構あります。一説ではたくさん見つけられるとその分、恋愛運が上昇するなどの噂もあって明治神宮の密かなパワースポットとも言われているようですが・・しかし、如何せん、あくまでも噂です。

気になる方は是非!探してみてください。

明治神宮・南神門(楼門)の場所

南神門は、本殿拝殿を取り囲む廻廊の南側にあります。

原宿駅側の南の入口から南参道を通り、大鳥居をくぐり、さらに第三鳥居(南玉垣鳥居)をくぐった先となります。

明治神宮境内の見どころ・観光スポット(パワスポ)一覧

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