【新宿御苑のトリセツ♥】見どころ(楽しみ方/回り方)・MAP(案内地図)・見学所要時間・歴史など」
新宿御苑には、庭園や歴史的建造物など、多くの見どころがあり、季節ごとの花々を観賞したり、イベントに参加したりと、色々な楽しみ方ができます。
こちらのページでは、広~い新宿御苑の中で、特に注目図べきポイントをご紹介します!
項・一覧
- 1 【新宿御苑のトリセツ♥】見どころ(楽しみ方/回り方)・MAP(案内地図)・見学所要時間・歴史など」
- 2 まず初めに・・新宿御苑とは?「開園年・面積・歴史など」
- 3 新宿御苑の園内地図(MAP)
- 4 新宿御苑の歩き方(地図付き)
- 5 新宿御苑の見どころ・楽しみ方1「庭園」
- 6 新宿御苑の見どころ・楽しみ方2「歴史的建造物」
- 7 新宿御苑の見どころ・楽しみ方3「四季の植物」
- 8 新宿御苑の樹木の管理方法
- 9 新宿御苑の見どころ・楽しみ方【番外編】「毎月開催!花市場・江戸東京野菜市場」
- 10 公園と言えば・・「新宿御苑・ピクニックのすすめ」
- 11 新宿御苑見学の所要時間
- 12 最後に・・新宿御苑の便利情報(コインロッカー、車椅子貸出)と注意事項
- 13 【補足】新宿御苑開園の経緯と歴史
- 14 新宿御苑の関連記事
まず初めに・・新宿御苑とは?「開園年・面積・歴史など」
開園年
- 1906年(明治39年)5月
面積(広さ)
- 面積58.3ha(約18万坪)、周囲3.5Km
新宿御苑は、明治神宮や明治神宮外苑の北側に位置する公園です。
「御苑」の名の通り、かつては皇室の庭園として造園されましたが、戦後には厚生省(現在は環境省)が管理する国民公園となり、一般に開放されるようになりました。
異なる造園方法の複数の庭園を組み合わせており、明治時代に作られた西洋庭園の代表とも言える存在です。
最寄り駅から徒歩5分程度という便利な立地にあり、約1000本の桜が咲き誇る春を始め、四季の自然が美しく、年間で、なんと約250万人(2017年)もの人が訪れる、人気スポットとなっています。
面積比較!
新宿御苑の面積58.3ha(583,000㎡)と同じくらいの面積の場所と言えば・・
- 東京ディズニーランド(52ha)
- ユニバーサルスタジオジャパン(54ha)
- 代々木公園(54ha)
これらよりもさらに少し広い広大な敷地を有するのが、新宿御苑なのです!
新宿御苑の営業時間と入場料、各駅からのアクセスについては、当サイトの以下のページ↓でご紹介しています。
新宿御苑の読み方
ところで、あなたは「新宿御苑」を正しく読めていますか?
正解は
・・・
しんじゅくぎょえん
です!
よく「ごえん」と読む方が多いようですが、違いますよ。他に、「おんえん」や「みえん」とも読めますが、違います!ご注意あれ!
新宿御苑の園内地図(MAP)
こちらは春の新宿御苑園内図です。
季節ごとの見どころが掲載された園内図は、環境省のホームページからダウンロードできます。
新宿御苑の歩き方(地図付き)
ご覧の通り、新宿御苑には3つの出入口があります。
どこから入って、どこから出ても構いません。
おすすめは、新宿門または大木戸門から入り、イギリス風景式庭園、フランス整形式庭園、日本庭園を見て、千駄ヶ谷門から出るルートです。
歩き方の例:「新宿門」から入場した場合
新宿門(スタート)→ 三角花壇→ 旧洋館御休所→ 大温室→ 大木戸休憩所→ 玉藻池→ イギリス風景式庭園→ フランス整形式庭園→ プラタナス並木道→ 擬木橋→ モミジ山→ 中の池の橋(渡ったら引き返す)→ 千駄ヶ谷休憩所(ツツジ山)→ レストハウス→ 御涼亭→ 日本庭園→ 上の池の橋を渡る→ 茶室「楽羽亭」→ 上の池の橋を渡る→ 母と子の森→ アヤメ?が群生する水たまり→西休憩所→ エコハウス・レストランゆりのき→ 茶室「翔天亭」→ 中央休憩所→ 千駄ヶ谷門(ゴール)
コース要約
新宿門から時計回りで進み、再び新宿門へ戻る形で最後は千駄ヶ谷門から出る。
所要時間
飯(ランチ)休憩時間を含めて約2時間30分。
新宿御苑の見どころ・楽しみ方1「庭園」
新宿御苑には、風景式庭園、整形式庭園、日本庭園というタイプの異なる庭園があります。
それぞれが特徴的で美しいのはもちろん、組み合わせられることで、独特の魅力を持つ公園となりました。
今や街路樹や公園樹の定番であるユリノキやプラタナスなどは、新宿御苑造園の際、日本で初めて取り寄せられたのだそうです。
園内には1万本以上の樹木があり、ユリノキ、プラタナスの巨樹や、60種類以上、約1000本のサクラなど、様々な種類の木々が、味わい深い風景を作り出しています。
また、美しく手入れされた芝生も、市民の憩いの場には欠かせません。
休園日を中心に、職員の方がこまめに刈込み・雑草の除去などを行っているので、1年中、きれいな状態で私たちを迎えてくれます。
イギリス風景式庭園
新宿御苑の中央から東部分に広がる広大な芝生に、ユリノキやケヤキの巨樹が点在する一帯が、「風景式庭園」のエリアです。
新宿御苑の風景式庭園は、全国の中でも名作と言われています。
西側の新宿門から、東側の整形式庭園までを見通せるラインの間に位置し、高さ30m以上ある新宿御苑のシンボルツリーのユリノキが、存在感を示しています。
新宿御苑の芝生は、東南アジアやインド原産の「高麗芝(こうらいしば)」と「野芝(のしば)」です。
これらの芝の特徴は、常緑の西洋芝と葉違い、冬の間は枯れて黄土色になる点にあります。
ですので、初夏の新芽、盛夏の青々した芝の絨毯、そして冬枯れした芝生と、木々だけではなく足元からも、季節の移ろいが感じられ、夏と冬では全く違った風景を見ることができます。

芝生と巨木群の向こうに新宿の高層ビルが見える、都会のオアシスらしい風景をお楽しみください。
「丸花壇」と「三角花壇」の2つの花壇の花々にも、ぜひご注目くださいね。
風景式庭園とは:
18世紀のイギリスで発展した造園方法で、それまでの幾何学的・左右対称の造園方法に対し、非対称・曲線的という特徴があります。
庭園に自然の美しさを取り入れ、絵画のような理想的な風景を作り出すことを目的としています。
自然式庭園、イギリス式庭園とも呼ばれます。
ところで・・新宿御苑から見える、あのタワーは何?
イギリス風景式庭園を始め、園内のいたる所から見える、尖った形のタワーが、何かご存知ですか?
これは、2000年に竣工した、NTTドコモ代々木ビル(通称:ドコモタワー)です。
地上27階・地下3階の大きなビルで、東京都内で4番目の高さだということです。
ビルの北側の尖った部分の根元に見える大きな時計は、2002年にNTTドコモ設立10周年を記念して設置されたもので、直径は約15mもあります!
ちなみに、このビルはNTTドコモの業務用ビルなので、関係者以外は入れません。
フランス整形式庭園(バラ花壇)
新宿御苑の一番東側にある「整形式庭園」は、日本を代表するフランス式庭園です。
中央には110種類・約500本のバラが植えられたバラ花壇(バラ園)があり、春と秋には色とりどりの花が咲き誇ります。
春と秋に咲くのは同じバラですが、咲く時期によって色や香りに変化があるそうで、春のバラはボリュームがあり華やか、秋のバラは色味は控えめで香りが強くなるそうです。
春のバラは5月上旬から6月上旬にかけて、秋のバラは10月中旬から11月下旬にかけて見られます。
バラの季節には、特別なガイドウォーク企画が開催されますので、日程をご確認の上、ぜひお出かけください。
バラ花壇の左右には、合計156本のプラタナスが4列・約200mに渡って並ぶ並木道が配されています。
並木道にはベンチが設置されており、休憩や語らいの場としておすすめです!
整形式庭園とは:
「ビスタ」と呼ばれる軸線を中心に左右対称に作られた庭園で、主にフランスで発展しました。
敷地の区割り、花壇や池の配置が幾何学的にデザインされ、隅々まで人工的に整えられます。
フランスしい庭園とも呼ばれます。
プラタナスの並木道とベンチ
まるで冬のソナタのワンシーンに出てきそうな景色。主人公とヒロインがここで出会い愛を誓い合う。・・そんな情景が目に浮かぶ今日このごろ。
プラタナス並木道の大きな見どころの1つとして「ワカケホンセイインコ」という全身が黄緑色でクチバシが真っ赤な色をした鳥がよく囀っています。
バードウォッチャーの方は必見!
フランス式整形庭園
生垣の中央には、題して「タンコブ連山」とも呼べるべき樹木が植栽されています。浮気してハゲ頭の頭頂に10発くらいゲンコツやら、かかと落としを食らった後ような、そんな痛々しいタンコブ連山のように見えます。
プラタナスの幹のアップ画像
プラタナスの幹にはまるで人工的にデザインされたかのような芸術的な見栄えの樹皮ができます。黒、灰、白と3色の見事な色映えの樹皮です。この樹皮は実は剥がれているためにこのような疎ら模様に見えるのです。
樹木は成長しているので樹皮も入れ替わりの時期があります。
日本庭園
日本庭園は、園内の中央から西側に広がっています。
池の周りに造られた池泉回遊式の庭園で、古くは鴨猟をする「鴨池」でしたが、昭和の初め頃に庭園に改装されました。
戦中の空襲の被害を免れた旧御凉亭(きゅうごりょうてい)や、茶室「翔天亭」・「楽羽亭」が庭園の景色に趣を添えています。
池の所々に橋が架けられており、自分の足で回遊しながら、梅、桜、新緑、ツツジ、藤、紅葉など、四季折々の景色を間近に楽しめる造りとなっています。
また、秋には、菊花壇展の会場となります。
池泉回遊式庭園とは:
大きな池を中心に据え、その周りを回収しながら眺めを楽しめる造りの庭園。
日本庭園のあずまやや太鼓橋はあの映画の舞台!
新宿御苑は、「君の名は。」の新海誠監督が2013年に手掛けたアニメーション映画「言の葉の庭(ことのはのにわ)」の舞台として知られ、「聖地巡礼」に訪れるファンも多くいます。
映画の中で特に重要なシーンの舞台として印象的に描かれているのは、日本庭園のあずまやです。
他にも、日本庭園の西側に架かる太鼓橋や、イギリス風景庭園からの眺めも登場します。
新宿御苑の見どころ「ココにも注目!」
玉藻池
上述の通り、新宿御苑がある場所には、江戸時代、信州高遠藩主・内藤家の下屋敷(別邸)があり、「四谷荘」と呼ばれていました。
大木戸門側に位置する「玉藻池」を中心とする回遊式日本庭園の前身は、その四谷荘の庭園「玉川園」で、1772年(安永元年)に造園されました。
現在の大木戸休憩所がある場所にあったとされる御殿から眺めて楽しめるように、池、谷、築山などが築かれていたようです。
母と子の森
新宿御苑の西側には、大都会の中でも子どもたちが自然とのふれあいを経験できるよう、「母と子の森」と名付けられた、自然観察用の雑木林が整備されています。
母と子の森では、ボランティア団体「新宿御苑森の会」による、季節に応じた親子自然観察会(自然教室)が行われます。
自然観察会は1年を通して行われます。
各回の日程や内容、申し込み方法は、環境省のホームページ「園内イベント概要・自然教室」でご確認ください。
温室もあります!
新宿御苑の大温室は、2012年(平成24年)にリニューアルオープンしました。
「環境配慮型温室」として、熱帯植物約2700種を栽培・展示している他、絶滅のおそれのある植物の保護・増殖も行っています。
温室内には、ジャングル、池沼、山地、乾燥地、そして日本の小笠原諸島や南西諸島などをテーマにした複数のエリアがあり、それぞれ、特徴的な木や花、果実などを見ることができます。
大温室内部の様子
大温室内は自然の亜熱帯雨林の環境に近づけるため、湿度や温度は高めで少しジメッとしています。冬に訪れると暖かく感じます。
湿度が高くジメッとしているので、天パーの方はグニャグニャにセットが乱れるの要注意です。(整髪剤と鏡をお忘れなく)
また、新宿御苑は日本における本格的な洋らん栽培の発祥の地と言われ、その伝統を引き継いでいるのが、この大温室です。
11月下旬から12月上旬にかけては、1983年(昭和58年)から続く「新宿御苑洋らん展」が開催され、名物となっています。
新宿御苑で作出されたラン
新宿御苑ではランの品種改良も盛んに行われています。その成果としてなんと!世界に誇れるぐらいの洋ランの新種が誕生しています。
冬でも温かなこちらの温室で、南国に出かけた気分を味わってみるのも良いですよ!
新宿御苑の見どころ・楽しみ方2「歴史的建造物」
新宿御苑の見どころの1つが、皇室ゆかりの歴史的建造物の数々です。
大部分は空襲で焼けてしまいましたが、再建され、新宿御苑の歴史を今に伝えています。
旧洋館御休所【重要文化財】
読み方
- きゅうようかんごきゅうしょ
創建年
- 1896年(明治29年)
設計
- 宮内省内匠寮
※内匠寮は、「ないしょうりょう」「たくみりょう」「うちたくみのつかさ」などと読みます。
建築様式
- 木造平屋建(正面玄関ポーチ付)
屋根の造り
- 本屋:切妻造・スレート葺
- 庇部分:瓦棒型鉄板葺
建築面積
- 480.1㎡
重要文化財指定日
- 2001年(平成13年)11月14日
特別公開日と公開時間
- 基本、毎月第2・第4土曜日(10時~15時まで)
- 4月21日は午後のみ公開(12時〜15時まで)
- 2月23日は午前のみ公開(10時〜12時まで)
※御苑の都合で公開中止になる可能性も有り。
※日程は変更になる場合があります。
※2019年4月下旬より、特別公開日が毎月3回程度に増える予定となっています。(5、6、11月に、もう1日、中週の土曜日が追加。)
旧洋館御休所は、天皇を始め、皇族が大温室で植物を観察する際の休憩所として、1896年(明治29年)に創建されました。
19世紀後半にアメリカの住宅建築様式として流行した「スティック・スタイル」を基調に、「クィーン・アン・スタイル」を加味した洋風木像建築で、創建後に何度か増築され、現在の姿となっています。
大正時代後半からは、建物の南側にある芝生がゴルフ場としても利用されたことから、トイレや手洗い場を増築するなどの改造がほどこされ、クラブハウスとして利用され、時には国賓をもてなすのにも使われたと言われています。
さらに、1949年(昭和24年)から1994年(平成6年)までは、新宿御苑の管理事務所として使われました。
その後、歴史的・文化的に価値が高いとして改修工事が行われ、2001年(平成13年)に大正時代の姿に戻され、同年、国の重要文化財に指定されています。
明治・大正期の皇室関係の庭園休息施設としては、国内に現存する唯一の建築物であり、皇室の関係施設の建築・土木・造園などを管轄した部署「宮内省内匠寮」が手掛けた建物としても、貴重なものです。
スティック・スタイルとは:
1860年代から1890年代にアメリカで流行した住居建築の様式で、外壁に小さな板が並べられている点、急な傾斜の屋根、レンガの煙突、1階部分の屋根の張り出しなどの特徴があります。
旧洋館御休所は分類上「スティック・スタイルを基調とした洋風建築」なのであって、これらの特徴をすべて備えているわけではありませんが、窓(外壁)に見られる、水平・垂直方向の筋交い(すじかい)のようなものが、スティック・スタイルの住居を彷彿とさせます。
クィーン・アン・スタイルとは:
スティック・スタイルと同時期に、もっとも流行したアメリカの住宅のデザインの1つ。
イギリスやフランスの建築様式をアレンジしたもので、玄関の屋根と一体化したベランダや、タレットと呼ばれる塔、展望台などが特徴の、装飾的でお城のようなスタイルです。
旧洋館御休所の屋根の棟飾りなどは、このクィーン・アン・スタイルの特徴と言えます。
旧御凉亭
読み方
- きゅうごりょうてい
創建年
- 1927年(昭和2年)
建築様式
- 木造平屋建、基礎部分コンクリート
屋根の造り
- 本瓦葺
旧御凉亭は、池のほとりで景色を楽しみながら涼をとるための建物で、昭和天皇のご成婚記念として台湾から贈られ、建造され、2004年(平成16年)には、東京との歴史建造物に指定されました。
中国の南部地方の建築様式を取り入れた、国内でも珍しい本格的な中国風建築となっており、「台湾閣」とも呼ばれています。
屋根の軒の反り上がりや、漆喰で仕上げられた白い縁取り部分、卍格子の欄間などには、台湾のびん南建築様式の特徴が表れています。
要注目ポイントは玄関の円窓で、「於物魚躍」という文字がデザインされています。

「於物魚躍」は「あゝ満ちて魚躍れり」と読み、古代中国・の周の文王を賛美して詠まれた、「文王が王宮の池にあれば、魚たちも集まり喜び跳ねる」という意味の詩文から取った言葉だそうです。
これ以外にも複数の丸窓があり、新宿御苑の中でも異彩を放つ旧御凉亭の、チャームポイントの1つとなっています。
建物内部に入ることができますので、洋風とも和風とも違う、中国風の建築の意匠に注目しながら、隅々まで見てみてください。

茶室・楽羽亭
楽羽亭(らくうてい)は、現在の日本庭園に鴨場(鴨猟の場所)があった明治時代、皇族の休憩所として建てられました。
「楽羽亭」の名称は、鳥たちが楽し気にはばたく様子をイメージして付けられたといいます。
1945年(昭和20年)の空襲で焼失し、1987年(昭和62年)に再建されました。
梅林の中にあり、2月下旬頃の梅が見ごろとなる季節には、落ち着いた外観が梅の花によって華やいだ雰囲気になります。
現在は立礼席(りゅうれいせき)で、抹茶と和菓子をいただけます。
営業時間
- 10時~16時 ※都合により変更の場合あり
メニュー
- 抹茶(季節の和菓子つき) 一服700円
立礼席とは:
椅子に腰を掛けて行う茶道のお点前(てまえ)形式である「立礼式(りゅうれいしき)」を行う座席。
茶室・翔天亭
翔天亭(しょうてんてい)は、新宿御苑が造園された1906年(明治39年)に建造されましたが、楽羽亭と同じく空襲で焼失し、1954年(昭和29年)に再建されました。
その後、平成元年に御苑で行われた、昭和天皇の「大喪の礼」の際に建築された葬場殿の資材の一部を使用し、1991年(平成3年)に建て替えられています。
8畳の和室と土間(腰掛15席)があり、土間の正面・側面には大きなガラス戸が備えられ、外の景色を眺めながら茶道などを楽しめるように造られています。
楽羽亭・翔天亭は有料で貸し出されており、お茶会、句会、お稽古などに利用できます。
利用方法などについては、新宿御苑のホームページ内、「サービス・施設案内」をご覧ください。
擬木橋
擬木橋(ぎぼくばし)は、園内の南東部にある「下の池」にかかるコンクリート造りの橋です。
1900年(明治33年)のパリ万博で展示されていたものを輸入し、1905年(明治38年)に設置されました。
日本初と言われる木を模した形の欄干が特徴です。
旧新宿門衛所・旧大木戸門衛所
どちらも1927年(昭和2年)に建てられた門衛所(もんえいじょ・門番が駐在する場所)で、新宿門と大木戸門を繋ぐ散策路沿いにあります。
新宿門衛所は三角屋根の純洋風建築です。

大木戸門衛所は、和風のような、中国風のような、折衷型の建築になっています。

新宿御苑の歴史、そして建造当時の建築デザインを知る上で貴重な建物ですので、ぜひ注目してください。
新宿御苑の見どころ・楽しみ方3「四季の植物」
以下では、春の桜と、秋の菊や紅葉についてご紹介します。
他にも、初夏のシャクナゲや、フジ、盛夏のユリやサルスベリ、秋から冬にかけてのサザンカやツバキ、ウメなど、1年を通して色々な花が楽しめますので、ぜひ、環境省のホームページで季節ごとの見どころをチェックしてから、お出かけください!
春の桜
春の特別開園期間
- 3月25日~4月24日
約65種1100本の桜が植えられている新宿御苑では、2月中旬のカンザクラをトップバッターに、3月下旬にはヤマザクラなどの一重咲き種、4月中旬には新宿御苑の桜の代表格「イチヨウ」などの八重咲き種と、長い期間、いろいろな種類の桜を楽しめます。
ソメイヨシノや八重桜が見ごろとなる期間は、春の特別開園期間として毎日開園し、例年4月には内閣総理大臣主催の「桜を見る会」が催されるなど、東京随一の桜の名所として知られています。
純白の桜、ピンク色が濃い桜、一重咲きや八重咲き、しだれ桜など、一言に「桜」と言っても、その形や色は様々です。
新宿御苑に足を運んだら、ぜひ、あなたのお気に入りの桜を探してみてください!
新宿御苑の桜については、当サイトの以下のページ↓でご紹介しています。
新宿御苑のお花見情報「桜の種類と数・見頃(開花時期)・混雑状況(混雑回避)・ライトアップなど」
秋の菊と紅葉
菊花壇展
秋の特別開園期間
- 11月1日~15日
新宿御苑の秋と言えば、園内で育てられた個性豊かな菊がお披露目される「菊花壇展」です。
「菊花壇展」は、1878年(明治11年)に赤坂の仮皇居で始まった「菊花拝観」が、1930年(昭和4年)から新宿御苑に場所を移したもので、戦中・戦後の中断を経て現在まで続く、皇室ゆかりの伝統行事です。
秋には全国の神社・寺・城郭で菊の展示会が開催されますが、新宿御苑の菊花壇展は、一味違います。
回遊式の日本庭園の順路に沿って見ると、もっとも美しく観賞できるように、計算されたデザインとなっているのだそうです。
日本庭園内には上屋(うわや)と呼ばれる建物が設置され、伝統的な技法と新しい手法を織り交ぜて、様々な形に作り上げられた菊花壇が見られます。
中でも、小菊の花の束が流れ落ちるような形状の懸崖作り花壇(けんがいつくりかだん)、1本の株から何百もの花が咲く大作り菊を、傘のような形に盛り付けた大作り花壇 (おおづくりかだん)などが特徴的です。
ぜひ、色々な大きさ、色、形の美しい菊を、間近でゆっくりと観賞してみてください。
菊花壇展は、毎年11月1日から15日まで開催され、期間中は、毎日休まずに開園します。
紅葉
新宿御苑の紅葉は、菊花壇展を追いかけるように見ごろを迎えます。
都内の紅葉の名所としては、新宿御苑からも近い明治神宮外苑のイチョウ並木が特に有名ですが、新宿御苑でも、もちろん素晴らしい紅葉が見られます。
上述のように、園内には形式の異なる複数の庭園があり、木の種類も多様なので、色々な風景の中の色々な種類・色の紅葉を楽しめるのが醍醐味でしょう。
フランス整形式庭園のプラタナス並木や、日本庭園・下の池のそばの「モミジ山」の紅葉は、特に必見ですよ。
例年の紅葉のピークは11月上旬から12月上旬頃ですが、早いものは10月中に色づき始め、遅いものは12月中旬まで続きます。
新宿御苑や周辺の紅葉情報は、当サイトの以下のページ↓でご紹介しています。
都内No.1の紅葉の名所はどこ??明治神宮と周辺の紅葉「見ごろ時期・おすすめスポット・ライトアップ・混雑状況・アクセスなど」
新宿御苑の樹木の管理方法
新宿御苑に植栽されている樹木を見ると分かりますが、新宿御苑内の樹木は枝が四方八方に広がり、中には枝が伸びすぎて枝の重力によって地面まで垂れ下がって、極端に変形している樹木さえあります。
一方で一般の公道や公園などの樹木は当たってケガすることや、視界が狭まるなどの理由から枝が広がる前に切り取られてしまいます。
この様相をどう捉えるかは個々人、意見が分かれると思いますが、新宿御苑において木々の枝を伐採しない理由は、新宿御苑の管理者たちが敢えて枝を切らずに育成しているためであり、枝が垂れ落ちて観賞しやすいという思惑も込められているからなのです。
新宿御苑の見どころ・楽しみ方【番外編】「毎月開催!花市場・江戸東京野菜市場」
新宿御苑では、毎月1回から2回、土日祝日に、花市場と野菜市場が開かれます。
季節の花々やハーブ類の苗、種、鉢植えなどや、地元で育った伝統の江戸東京野菜などが販売されます。
園芸グッズの取り扱いもあり、花や野菜に詳しいスタッフさんに、栽培のコツを伺うこともできますよ。
季節ごとの商品が並ぶため、内容は毎回変わります。
毎月の実施日は販売される野菜・花の種類などは、公式ホームページでご確認ください。
花市場・江戸東京野菜市場
場所
- 新宿門横インフォメーションセンター前広場
時間
- 9時~16時 ※小雨決行、荒天中止
お問い合わせ先
国民公園協会
- 電話番号:03-3341-1461
なお、花市場・野菜市場以外にも、新宿御苑では、写真教室やガイドフォークなど、色々なイベントが開催されています。
イベント情報は毎月更新されますので、ホームページをチェックしてみてください!
公園と言えば・・「新宿御苑・ピクニックのすすめ」
皇室ゆかりの庭園でピクニックなんてできるの?
と、お思いかもしれませんが、なんと新宿御苑では、レジャーシートや飲食物を持ち込んで、ピクニックを楽しむことができます!
特に春や秋の穏やかな日には、広い芝生に寝そべって、家族や恋人とくつろいで過ごすのがおすすめです。
真夏や真冬は外で長時間過ごすのには向きませんから、庭園の散策を楽しんだら、園内のレストラン・カフェで休憩というのも良いでしょう。
酒類やペットを持ち込まないなど、禁止事項もありますので、ルールを守って、楽しいピクニックにしてください。
新宿御苑での遊具の使用について
新宿御苑では、ボール遊び、バドミントン、凧揚げ、ローラースケートなどは、来園者の安全確保のため、すべて禁止となっています。
ただし、2019年3月から、千駄ヶ谷門近くにある芝生広場を「こども広場」と改称し、「小学生以下」に限り、他の利用者に危険を及ぼさない遊具(幼児用ゴムボール、なわとびなど)の使用が許可されることになりました。(※3月25日~4月24日の特別開園期間を除く)
小さなお子さんとお出かけの方は、ぜひご利用ください。
新宿御苑のレストラン・カフェ・売店など
新宿御苑には、レストラン「ゆりのき」とカフェ「はなのき」、そして売店を備えた休憩所があります。
レストランゆりのき
風景式庭園にある「ゆりのき」では、庭園の景色を眺めながら、新宿御苑ゆかりの食材を用いたオリジナルメニューをいただけます。
旬のの地元野菜・伝統野菜を使った季節限定メニューも登場します。
スイーツセットやお子さまセットもありますので、デート中の休憩にも、ご家族でのお食事にもぴったりです。
店内には新宿御苑のにおける環境配慮型システムの案内や、新宿御苑の歴史が写真やパネルで紹介されている部屋があります。

かつて皇室の御料地だった大正時代に開始された観桜会の様子も古写真で見ることができます。
カフェはなのき
新宿門横のインフォメーションセンター内あるはなのきは、2018年にリニューアルオープンしたばかりのカフェです。
木のぬくもりが感じられる店内から四季折々の景色を眺めながら、カレースパゲッティなどの軽食や、ケーキ、コーヒーなどが楽しめます。
休憩所
園内各所にある休憩所では、新宿御苑のガイドブックや土産物の他、スナック類やスイーツ、飲み物を取り扱っています。
食べ物は、休憩所でいただくこともできますが、天気が良ければ庭園に持ち出して食べるのも良いでしょう。
お弁当を電話予約することもできますので、お花見などの際にはおすすめです!
新宿御苑見学の所要時間
ご紹介した通り、新宿御苑の敷地は58.3ヘクタールと広大です。
園内を一周しながら、こちらのページでご紹介した見どころを見ていくだけで、およそ1時間はかかります。
ベンチに腰を下ろしたり、売店でお土産を買ったり、季節の花々の写真を撮ったりしていると、あっという間に時間が過ぎてしまうかもしれません。
ぜひ、1時間半程度は確保して、ゆっくり・のんびりと、庭園散策を楽しんでください。
最後に・・新宿御苑の便利情報(コインロッカー、車椅子貸出)と注意事項
新宿御苑でのピクニックにも役立つ、コインロッカーの場所、車椅子の貸出しや授乳室の情報、そして禁止事項などをご紹介します。
コインロッカーの場所
新宿門、大木戸門、千駄ヶ谷門それぞれにコインロッカーがあります。(小300円、中500円)
車椅子の貸出
各入園門・サービスセンターにて、無料で車椅子を借りることができます。
ご希望の方は、当日、現地でお申し込みください。
授乳・おむつ替えはできる?
園内の主な公衆トイレにはおむつ交換台があります。
また、授乳室は、レストラン「ゆりのき」裏の女子トイレと、温室内の女子トイレにあります。
園内の授乳室・おむつ交換台は、今後も、施設の改修や建替え時に、随時設置されていく予定とのことです。
新宿御苑はペットと一緒に入れる?
園内の動植物保護などの観点から、盲導犬、聴導犬、介助犬などを除く、動物の持ち込みは禁止されています。
なお、新宿門・大木戸門間には犬の散歩ができる散策路がありますが、必ずリードを装着してください。
注意事項
歴史ある新宿御苑を守っていくため、また、他の利用者の迷惑にならないために、例えば以下のようなことは禁止となっています。
- 酒類の持ち込み
- 自転車、ストライダー、三輪車、一輪車、台車などの持ち込み
- ドローン、ラジコンカー、ラジコンヘリなどの使用
- 園内の動植物(魚・虫含む)を採取したり・傷つけたりする行為
- 落葉、落枝、落花、木の実などの持ち帰り
- 園内の動物にエサをやる行為
- 持ち込んだ植物を植える行為
この他の注意点は、環境省のホームページなどでご確認ください。
【補足】新宿御苑開園の経緯と歴史
江戸時代から明治時代半ばまで
新宿御苑の敷地は、徳川家康が幕府を開く前の1590年(天正18年)に、豊臣秀吉から領地を与えられ、江戸城に入場した際、臣下の内藤清成に授けた屋敷の一部でした。
明治時代に入ると、内藤家から上納された土地と買収した隣接地を合わせた敷地に、政府が、日本の近代農業振興を目的とした「内藤新宿試験場」を建設しました。
その後、試験場としての役割の一部を他に移し、1879年(明治12年)には、宮内省所管の「新宿植物御苑」となります。
新宿植物御苑時代には、鴨池や養魚池の他、後に上野動物園に下賜されることになる動物園、時にはゴルフ場までが入った、皇室の御料地・農園として利用されました。
新宿御苑の誕生・国民公園へ
新宿植物御苑では、その後、1902年(明治35年)から4年間を費やして大改造が行われ、1906年(明治39年)5月、晴れて「新宿御苑」としてのスタートを切りました。
新宿御苑では、開園年を、この1906年としています。
新宿植物御苑が新宿御苑へと改造されるに至った経緯は明らかではありませんが、当時の責任者だった福羽逸人(ふくばはやと)が、若いころからドイツやフランスに留学し、西洋の花き・果樹園芸を学んでいたことが、大きく影響したものと考えられています。
それから長い間、皇室の庭園として利用されていましたが、1945年(昭和20年)5月の空襲で、旧御凉亭と御休所を残して、ほぼ全焼という、大きな被害を受けました。
戦後は、皇居外苑・京都御苑とともに、「国民公園」として運営されることになり、1949年(昭和24年)5月21日からは、「国民公園 新宿御苑」として、一般公開されるようになっています。
国民公園とは:
国(環境省)が設置・管理する公園で、皇居外苑、新宿御苑、京都御所の3か所。
国が管理する公園としては、他に、自然景観の保護を目的とする自然公園と、広場や植物園、イベント施設などを持つ都市公園があります。